2017.06.12
三重県津市の有料老人ホーム「ハーモニーハウス津」様における園芸療法サービス(H29.6.7)です。
今回のお花はケイトウ・コリウス・トレニア・百日草の4種類を使い、一人一鉢作成しました。
どれも夏の暑さに強く堅牢で、大きく育つものばかりです。
高齢者にとって馴染があるお花を選ぶのも療法としてはポイントです。
ケイトウや百日草は有名なので是非お試しください。
この中ではトレニアが馴染がないように感じますが、
別名「夏スミレ」と伝えるとご存じの方も多くいましたし、
コリウスを知らない方にも「シソの仲間です」と伝えると
「確かに葉が似ている」と共感いただくこともできました!
また、同じ花でも色が違えば別物です。
皆様自分の好みの花色を選ぶのに夢中でしたよ~
“選べる”というだけで楽しさが倍増します!!
鉢の色は白と黒の2色。好みがはっきり分かれました。
土を入れて鉢の準備をして、花の色を選びます。
好みがかぶった場合はじゃんけんで決めました!
自分のものを愛でたり、人のものを褒めたり。
とてもよい時間を過ごすことができました。
出来上がった作品は居室のベランダで管理いただいたり、ご自宅に持って帰って頂いたり様々です。
個別作業のよい点は、所有の喜びや達成感が高くある点。
悪い点は、できあがりに差ができてしまうことや一人で完成できない方がいる点。
これは対応者のサポートでうまく平準化する必要があります。
対応者の関わり方で高齢者の“楽しみ”はどんどん広がります。
「できないことより、できることに着目すること」
私は園芸療法を学ぶ際に、この言葉を教えてもらいました。
みなさんもぜひ目の前の高齢者の可能性を信じて、もっと一緒に楽しみましょう!
そんな時、園芸は最適解かもしれません。
本日お邪魔した施設はこちらです!!詳しくは→https://engeiryoho.jp/intro.php
ハーモニーハウス津
住所:津市久居明神町字風早2077 tel:059-254-1122
クラギ株式会社
園芸療法士 常田
2017.02.20
本日は、園芸療法の効果・利点として「心身機能の廃用予防」をお伝えします。
みなさんは、いま維持している能力の廃用予防として最も効果的な方法は何だと思いますか?
高齢者の皆さんでよくある発言ですが、何かにつけて「あなたがして」という依頼があります。
これは心身機能の低下から失敗を恐れている方、迷惑をかけたくない方などに多い発言です。
もちろんその方がもうできなくなってしまったことは介助をするべきですが、
まだご自身でできることは、極力ご自身でして頂く。
これこそが最良の方法だと私は思います。
しかし、先に申し上げた通り、失敗・迷惑が頭をよぎり、なかなか挑戦できない方が多いのも事実です。
そこで園芸療法で何ができるのか。
以下のことに注意して作業を設計・提供することで、本人の活動に対する自信回復を図ります。
①誰もが慣れていないかんたんな活動(=失敗して当然)
②興味を引くような目新しい活動(=意欲を引き出す)
③誰もが自信を持てる馴染ある作業
これには“今まで聞いたことはあったけど自分では初めてする”
または“昔から馴染があってこれならまだ自信ある”という園芸道具の使用がハマります。
以下に、おすすめの園芸道具を用いた活動を紹介します。
①蓄圧式噴霧器 …上下にポンプ圧をくみあげる動きで上肢の運動も提供できます。適度な重さに設計して両手をバランスよく使ってもらうこともできます。水が放射状に飛ぶので隣の人にかからないように注意機能も刺激できます。水をかけあってしまうのもご愛嬌で夏場は予想以上に盛り上がります。
②スプラウト栽培用 専用容器 …ザルと器が一体になった専用容器。水耕栽培をするためのものですが、ほぼ全員が初体験ですので失敗の侵襲性がありません。作業は水量を調節するだけなので、質問事項も明確です。自ら疑問をもち質問して仕事を完遂することで自信の回復を図ります。
③移植ゴテ …こちらはみなさんお馴染の移植ゴテ。お馴染すぎて拒否する人がもっとも少ない道具です。かんたんな作業から興味をひいてまずは参加頂く。これが基本です。ただし土入れは結構重労働なので、張り切りすぎる高齢者には注意が必要です。
④ジョウロ(ペットボトルに装着できるはす口) …普通のジョウロでは重くて無理という方におすすめなのがペットボトルに装着して用いる“はす口”です。重さを調節できるので上肢の運動提供にも便利です。水やりは誰でもできるというイメージがあるので皆さん参加頂けますよ。
こうした小さな成功が、新しい自信を生み、自信が普段の生活の活力になります。
活力ある生活を過ごすことができれば、心身機能の維持に大きな影響が出ます。
なにがきっかけで元気になるかは人それぞれですので、
とにかく活動に参加して頂けるようにと、施設の職員さんはあの手この手を考えるものです。
アイデアが尽きたあなた
ここは一つ、園芸道具の持つチカラを借りてみてはいかがでしょうか?
クラギ株式会社
園芸療法士 常田(つねだ)
2016.10.12
本日は 園芸療法のメリットとして「手指の巧緻性を保つ」をお伝えします。
「手指の巧緻性」と言われても療法に携わらない方はピンとこないかもしれません。
平たく言うと「手先の器用さ」のことです。
高齢者は、肌の乾燥や指の震え、病気など様々な理由から
細やかな動きが苦手になる方が多くみえます。
ひとたび 自分が以前より不器用になったと感じてしまうと
細かい作業にイライラを覚え、ついには作業自体を拒否するようになってしまいます。
生活の中で ①今までできたことが難しくなる→②しなくなる→③本当にできなくなる という悪循環が起きます。
また、手指の細かい作業は脳への刺激も大きいので(人類が進化したように…)
認知症予防のためにも手指の巧緻性は維持したいものです。
そこで園芸です!!
園芸では、肥料や種を”一粒ずつ摘まむ”動作や 支柱に誘引するために”紐を結ぶ”動作 など
手指の巧緻性が求められる細かい作業がたくさんあります。
こうした作業をうまく切り取って、対象となる方へ提供するのが園芸療法士の仕事です!
もちろん、やはりうまくできずに嫌がる方もみえますが、楽しい作業は自分でやりたいものです。
自らでお世話して達成感を得たいと言う気持ちが、作業意欲を生み、廃用予防につながります。
最近、細かい作業が苦手になってきたという方がみえましたら
是非お試しください!
クラギ株式会社
園芸療法士 常田
2016.10.11
本日は 園芸療法のいいところとして 「両手作業が自然に行えること」をお伝えします。
右脳と左脳をバランスよく活用すると健康によいことは周知のことですが、
手っ取り早く両方の脳をバランスよく働かせるには 両手を満遍なく使うことが近道です。
健康な私たちは 少し意識するだけで 両手をバランスよく使うことができます。
しかし 高齢者の中には 「少し痛みがある・少ししびれる 」 など何らかの理由から
麻痺など身体機能として大きな不自由があるわけでもなく
「ちょっと気乗りしない」程度で利き手に頼りがちになってしまうことはよくあります。
使わない腕の機能はどんどん衰えていきます。もちろん右脳と左脳の活躍する機会も平等ではありません。
そこで園芸の登場です!!
「興味があれば心が動き 心が動けば からだが動く」
これが園芸療法の醍醐味です。
日頃は嫌がる両手作業も 「園芸を上手にしたい」と思えば自然に両の手が出ます。
無理強いしなくても 腕の身体機能と脳機能の廃用予防が 一度にできてしまいますよ!
また麻痺などがおありの方にも 適切な介入や作業工夫があれば十分園芸は楽しむことができますのであしからずご了承下さいませ。
是非お試しください!
クラギ株式会社
園芸療法士 常田雄生
2016.09.03
本日は園芸療法のいいところとして、「園芸は飽きない」をお伝えします。
高齢者施設で”趣向を凝らしたレクリエーション”や”楽しんでできる機能訓練”、
”大掛かりな季節イベント”を行おうとすると
準備から実施、片づけまで、担当者は日頃の介護業務に加え本当に大変ですよね。
それなのに介護現場では
「苦労して企画したのに、すぐに飽きられてしまう。」というお悩みや
「毎年同じことの繰り返しで実は飽き飽きされているかも…?」という不安、
「恒例行事にスタッフが先に飽きてしまってレクの時間が苦痛…」という不満をお持ちの方は実はとっても多いんです。
そんなあなたに朗報です。
園芸を始めてください!そう、園芸は飽きがこないからです。(イラスト参照)
園芸は、大まかに言えば、”植物”と”土”と”鉢”の3つがあればはじめられます!
イラストのように、昨年トマトの栽培を行った方でも、今年もまたトマトの栽培を楽しみにされる方が非常に多いんです。
また、「次はミニトマトや違う野菜を育てたい」など自発的にやりたいことが生まれるのも園芸の良い所です。
このご要望に応えるために提供する側がすることは何も難しいことではありません。
鉢など必要な道具は昨年用意してますから、種や苗と土を新しくするだけです。
つまりお手軽なマイナーチェンジで利用者様のご要望に対応できて満足度が向上するんです。
なぜか?理由はかんたんです。
・園芸は、知れば知るほど奥が深いので一度ハマると飽きれない。
・園芸は、実がなったり花が咲くなど短期間で”達成感”を得やすく興味が持続しやすい
・園芸は、五感をフル活用する作業であり、普遍的に楽しめる。
などなどです。
最近マンネリ化に頭を悩ませている~という方は
是非園芸をお勧めいたします。
クラギ株式会社
園芸療法士 常田(つねだ)
2016.08.09
【園芸療法の強み】
本日は他の療法との違いの一例として、
「リハビリを嫌がる人」をテーマに「拒否されにくい」強みをご紹介します。
リハビリや機能訓練を嫌がる方は、お身体の不自由を受容できていない方、やらされている感が嫌いな方、プライドが高い方、単に気が乗らない方など様々です。
また、「元気になって○○したい」「迷惑かけないようにしたい」などの目標が持てないとなかなか動けないものです。
つまり、身体を動かすには、まずは心を動かさなくてはいけないんです。
「触りたい」から手を伸ばす 思わず立ち上がる
園芸は高齢者の人気な趣味第2位(※1位は旅行)で誰でも興味を持ちやすく、
「きれい」「楽しそう」「知りたい」など人間の根源的な欲求の琴線に触れやすいです。
つまり、園芸は人の心を動かすことが得意なんです。
「心をわくわくさせて自発的に楽しみながら、気づいたら体を動かしている。」
これができるのは園芸療法だけだと思います。
作業導入がいらないことは療法提供者にとっては本当に助かりますよ!
是非お試しくださいませ。
クラギ株式会社
園芸療法士 常田(つねだ)
2016.08.08
【園芸療法の効果】
本日は「心の健康」へのアプローチ例として、「自信喪失」をテーマにご紹介します。
高齢になると身体的な衰えや不自由からできないことが増え、自分を認められなくなり、
結果として、自信をなくされる方が多いです。
園芸は以下の2点から自信を取り戻すことに強みがあります。
・植物を介して他者を意識させることができる。(人のためになることこそ自信になります。)
・誰でもできる作業が必ずある。(作業難度が様々で、作業の緩急をつけやすいからです。)
頼まれて飾り付けをする 人のためにプレゼントをつくる
収穫物で達成感を得る
人は皆、個人差はあるものの「自己肯定感」を持っています。
人に褒められたり、何かで結果を出したりすると
無意識に自己評価・自己採点で高得点を与えて自分自身を認めてあげています。
この「自己肯定感」が「自信」や「やる気」の源泉です。
園芸を通して、人のためになり、達成感を得ることで、
「わたしもまだまだ捨てたもんじゃない、できることがある!」と思ってもらう。
そして、「自信喪失」を退治して、活動的な生活を生み、維持している能力の廃用予防(=健康維持)につながるわけです。
高齢者のできないことではなく、
できることに注目して、力を発揮してもらえるようにサポートできるのが園芸療法です。
身近に自信を失っている方がいらっしゃる方、是非園芸をお試しください。
クラギ株式会社
園芸療法士 常田(つねだ)
2016.08.06
高齢化が進む中、「認知症」は社会問題です。
認知症の予防や進行抑制に園芸療法ではどんなアプローチが可能なのか。
本日は、科学的な検証を一つご紹介して、園芸療法のもつ認知症予防の可能性をお伝えします。
※淡路景観園芸学校 豊田正博氏の研究を、同意の上で掲載させて頂いております。
同校のサイトはコチラ→ http://www.awaji.ac.jp/htcp/
写真の機械で色々な作業中における前頭前野の脳血流量を計測。縦軸は血流量、横軸は時間です。
グラフ黒線で示した比較作業より、その他の三色で示した園芸作業中には脳血流が増加し、前頭前野の脳神経活動が活発になることが確認できます。
つまりどういうことか研究者に聞いたところ、
「継続的な園芸は有酸素運動と脳神経の活性化という点から、認知症予防効果が期待されています。」とのことでした!
園芸好きには朗報ですね。
まだまだ、「この園芸作業をすれば認知症予防に効果あり!」とまでは言えませんが、
今のうちから園芸習慣を持つことは健康効果が高いようです。
園芸を身近にして、楽しみながら健康寿命をのばせられたら最高ですね!
クラギ株式会社
園芸療法士 常田(つねだ)
2016.08.02
園芸療法とはなんでしょうか?
最近では、「認知症予防」や「生活の質向上(QOLの向上)」という側面から注目され始めています。
ただし、日本ではまだまだ聞いたことがない方がほとんどだと思います。
一方、アメリカでは、国家資格者として「園芸療法士」が活動しています。
その歴史はベトナム戦争の頃からと古く、療法として確立され、広く認められています。
園芸療法士は 生き物である植物を用いることで、対象となる方を健康にすることができる人です。
植物をただ育てるだけでなく、眺めたり、絵に描いたり、成長を楽しみにしたり、人との話題にしてみたり。
対象者に適した活動・作業を用いることで、こころ・からだ・社会生活など様々な健康にアプローチします。
私は日頃、園芸療法を提供する中で、「楽しい」こそ「健康」の源であると感じています。
園芸を通して、楽しみながら健康になりましょう!
クラギ株式会社
園芸療法士 常田